腋窩多汗症とはわきの下に異常なほど大量な汗をかく症状です。
エクリン腺はほぼ全身の肌に存在している汗腺で、特に頭や顔、背中などに多くあります。
汗のほとんどはこのエクリン腺から出るものです。
エクリン腺から出る汗はエクリン汗と呼び、酸性で99%が水です。
アポクリン腺は脇の下や耳、乳輪や陰部に存在する汗腺です。
アポクリン腺から出る汗はアポクリン汗と呼び、毛穴から排出されます。
アポクリン汗はアルカリ性で、70~80%の水分と、タンパク質・脂質・アンモニアなどが含まれます。
いわゆるワキガなどの臭いはアポクリン汗が原因となります。
温熱性発汗 |
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体温が上昇したときに、体温を適正温度に保つためにかく汗を「温熱性発汗」といいます。 外気温の上昇による体温の上昇、運動による体温の上昇、お風呂・サウナによる体温の上昇などです。 汗が乾いて体表面から気化するときに、体表面の熱がいっしょに放出されて体温が下がります。 |
精神性発汗 |
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発汗を促す刺激体温調節のためではなく、緊張や不安などの精神的な刺激によってかく汗を「精神性発汗」といいます。 自律神経の一種の交感神経が活発になることで、汗が出てきます。 不安、緊張、ストレスなどです。 |
局所性に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6ヶ月以上認められ、以下の6項目のうち2項目以上あてはまる場合、原発性局所多汗症と診断されます。
自覚症状により、以下の4つに分類したHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)が提唱されています。
アルミニウム配合の外用制汗剤を用いた治療です。
薬剤を皮膚に直接塗りその成分の作用によって汗を止めます。
発汗命令を伝達するアセチルコリンを抑えることで、脇汗だけでなく、全身の発汗を抑えます。
プロバンサイン、ポラキス、ベシケア等。
副作用として、口渇、便秘、目のかすみ等がみられることがあります。
精神的緊張を和らげ、自律神経のバランスを整えることで、発汗を抑えます。
デパス、グランダキシン、パキシル等。
患者さんの体質、体力、体型に合わせて、使用します。
柴胡桂枝乾姜湯、五苓散、黄連解毒湯、桂枝加黄耆湯、防已黄耆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など。
交感神経遮断手術、イオンフォトレーシス、超音波手術、交感神経ブロックなど。
ボトックスは神経の末端から分泌される伝達物質「アセチルコリン」の分泌を抑制するという働きがあります。
アセチルコリンは交感神経の末端で発汗を促しているため、このアセチルコリンの分泌をボトックス注射で抑制することにより、過剰な汗の分泌をブロックします。
約6ヵ月効果が持続します。
(保険診療:一回両腋窩、3割負担の方でおよそ2万5千円)