糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)が過剰に増え、全身の血管や臓器に障害をもたらす疾患です。
通常であれば血糖を全身の細胞が取り込むことでエネルギーとして消費しますが、その調整を行うインスリンというホルモンの膵臓からの分泌が十分でない場合や、肥満状態でインスリンが脂肪に吸収され、有効に働かない場合等に、血糖値が高くなります。
また血糖値は、同じく膵臓から分泌されるグルカゴンというホルモンの分泌にも影響されます。血糖値上昇や大きな変動は、動脈硬化を引き起こし、失明・腎不全・心筋梗塞・脳梗塞・神経障害等を起こします。
健康診断等では、空腹時の採血で、血糖測定を行うことが多いですが、糖尿病初期や耐糖能異常状態では、空腹時の血糖値は正常域で、食後血糖値のみ高値となることが多いので、早期発見のため、食後の採血(血糖測定)が大切です。
糖尿病は、全身の血管や臓器の障害をもたらす疾患であり、採血だけでなく、頸動脈エコー・CAVI(脈波伝播速度検査)等の検査も行い、動脈硬化の状態を把握し、その予防を図っていくことが大切です。
次のような症状の場合はご相談ください。
当院では、右記のような血液検査機器を用い、15分程度で採血結果が分かります。
血糖値のコントロールが重要な糖尿病の治療ですが、検査結果を元に下記内容を中心に治療を行って行きます。
体内に脂肪がたまると、インスリンが脂肪に吸収されてしまうので、膵臓はそれを補うために、過剰にインスリンを分泌することで、血糖値を正常域内に維持しようとします。しかし、やがて膵臓は疲弊し、インスリン分泌を維持出来なくなり、血糖値が上がるようになっていきます。
年齢・性別・体格から、一日に必要なエネルギーを算出し、栄養バランスを考えた食事指導を行います。過剰なエネルギー摂取を止め、脂肪を減らしていき、すい臓への負担を軽減していくのが、食事療法です。
内臓脂肪・皮下脂肪を減らすことで、インスリンの働きを改善し、膵臓への負担を軽減していきます。食生活の改善とともに運動不足の体を動かすことで、より効果的に改善を図っていくことが可能となります。
インターバルウォーキング・スイミング・スロージョギング・サイクリング等の有酸素運動をお勧めします。運動時の脈拍が、速過ぎても遅くても、脂肪は燃焼しにくくなるので、運動の仕方も指導して行きます。
食事療法や運動療法にて、血糖値やインスリン分泌の改善が不十分な場合に行います。
内服薬とインスリン等の注射がありますが、作用機序・作用発現や持続時間等が、様々に異なります。定期的な医院での採血だけでなく、患者さんご自身で家庭での血糖測定を行って頂くことで、より良い血糖コントロールを目指していくことが出来ます。